特別ページ
ブルックリンSV-1ってなんだ?』

この車に関するページが国内で見当たらないので作ってみました。
(海外のページを和訳しながら作った文章なので,内容が全て正しいとは限りません。)



 ブルックリンSV-1は,カナダのニューブランズウィック州で,アメリカ合衆国向けに販売したスポーツカーである。1974〜1976年始めまで生産されていた。この車を作ったのが彼,マルコム・ブルックリン氏である。

 フロリダ大学を1年目で中退したマルコムは,25歳にしてアメリカでビジネスに成功して100万ドルを稼いでしまう。次の事業として,彼は日本の富士重工業(スバル)によって製作されたスクーターを売ることであった。(このスクーターも見事に売りさばいてしまったらしい。)

 マルコムはまた,あのスバル360の製作とアメリカでの販売にも携わった。重量が454 kgを切るスバル360は,自動車の安全規制から免疫されたが,同時に「最も危険な車」として雑誌に取り上げられてしまう。

 これに気が触ったのか,1971年,マルコムは自分自身で車を作るため,ブルックリン・ビークル社を立ち上げた。彼はプロトタイプのデザインを,ハーブ・グラッス・デザインとAVCエンジニアリングとの共同で行う。
 

 最初にデザインされたモデルは「フェアレディZに似てる!」とマルコムが文句をつけたらしい(笑)が,最終的には,インパクトのあるガルウィングと,安全性を最重視してできた巨大なバンパーが特徴の車となった。
(写真は最終デザインの粘土モデル)

 1974年,政府の援助もあって,主にデトロイト市で2000台が生産されることとなったSV-1。SVとは「Safety Vehicle」の略である。巨大バンパーをつけたSV-1は,当時の安全基準を遥かにしのいでいた。


 特徴的な部分は多岐にわたっている。まずガルウィングだが,なんと電動で開閉が可能なのである。座席後ろにある巨大な油圧バーが,ドアをゆっくりと持ち上げる仕組みとなっている。ボディはファイバーガラス繊維でできており,その上をアクリル酸で覆ってある。よって,ボディの色は塗装ではないのである。カラーは全部で5〜7色ほどあったらしい。内装はベージュのみ。「安全」をテーマにしていたため,灰皿もライターも装備されていなかった。

 スバル360の時と違い,雑誌でも多く取り上げられたブルックリンSV-1。しかし,アクリル酸で処理されたボディはひび割れなどを起こし,フロントガラスの雨漏れや,リトラクタブルライトの開閉不良,しまいには自慢のガルウィングが41kgもあったため,ゆがんでドアが開かなくなり,後ろのハッチから出なければならない‥など,多くのトラブルを抱えた車でもあった。
 そして,1975年9月にニューブランズウィック州が2300万ドルの投資を打ち切ったのが決定的となり,ブルックリンSV-1は2854台で生産がストップしたのである。

 その後,マルコムはアメリカに戻り,ユーゴスラビアの車を分配する事業を組織し,さらに,ベルトーネがデザインしたことで有名なフィアットX1/9sを輸入するといった仕事を行うことになった。

 カーチェイス映画「バニシングIN60」を監督したHBハリッキーの第2作「ジャンクマン」では,冒頭でブルックリンが登場している。私はこの映画でブルックリンを知った。(最後にはドアを開けたまま海に落ちるが‥)


 ブルックリンSV-1は,今も1500台が現存して走っている。フランスの友人ドミニクさんの話によると「フランスにも1台だけある」とのこと。日本には‥1台も無いのでは(下記参照)。デロリアンオーナーズクラブ(DOC)の会長は,DOCのHPで「いつかは欲しい車たち」の1台として,ブルックリンを上げている。

追記:(2004/1/28)
 このページを立ち上げてから,ブルックリンに関する情報が入ってくるようになりました。ページを見てくれたと同時に,情報提供をしてくれた皆さんに心から感謝します。

・関東地方でブルックリンを目撃した,という方がいらっしゃいました。
・2年ほど前に,京都にある中古車屋で,ブルックリンが200万円以下で売られていたそうです。
 予想とは大きく外れて,日本のブルックリン生存数は少なくないようです。目撃情報など,ブルックリンに関する情報がありましたら,メールまたは掲示板にてご報告下さい。

BRICKLIN SV-1 SPEC

全長:4536mm
全高:1223mm
全幅:1717mm
ホイールベース:2438mm
前トレッド:1478mm
後トレッド:1445mm
最低地上高:122mm

エンジン:V-8: Ford-supplied 351 Windsor(Max. bhp @ rpm 175 @ 3800)
トランスミッション:3速AT
燃費:市内走行時 13 mpg. 高速時 15-18mpg.

関連リンク
Bricklin International Owners Club:http://bricklin.org/
ブルックリンに関する記事が載っているページ:http://www.canadiandriver.com/articles/bv/bricklin.htm


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