会社帰りに寄ったマッチ模型店で偶然見つけ思わず購入。
自分もミニチャンプスの1/43ミニカーを見るまでは存在自体知らなかった車なのだが、
一言で言えば「メルセデスベンツが作ろうとしたロータリースポーツカー」

当時、ドイツのNSU社によって試作ロータリーエンジンが開発された際、
今も唯一量産している日本のマツダだけでなく、世界中のメーカーがNSU社と提携して市販化を目指していった。
そのうちメルセデス・ベンツは、1969年に3ロータリーのスーパーカー『C111』を発表。
その後も開発のたびにバージョンアップを続けていったものの、
ついに市販のレベルに達することはなかった…そんな車である。
デザインはその後のベンツのデザイン理論を築くことになるブルーノ・サッコというイタリア人によるものらしい。

さて、プラモは悪名高い(失礼)アリイの製品である。
だが実際の中身はもともとLS製のもので、LS倒産時に金型を受け継いで生産しているようだ。
かなり古いプラモなのだがはたしてどうなるものか…。


まず買ってきて思ったのは、
「あれ、ミニチャンプスのミニカーと顔が違う!」という点。
ミニチャンプスのはTypeIIで、このプラモはTypeIなのである。
だが単にTypeIと言っても、開発車両ということで、外観はかなりのパターンがあることがわかった。

 
ネットから画像をあさりまくり、上の2枚をメインの参考にすることにした。
ボンネットのグリル位置、リトラクタブルライトの切れ込みから、プラモは右の車両を参考にしたようだ。
(ちなみにこのタイプの写真はこれしか見つからなかった!)
ちなみにこの2台はYoutubeで並んで走行している動画があり、カラーということもあり、かなりの参考になった。


参考写真を印刷して作業開始。

まずタイヤ。

メッキパーツではない。
昔はこんなものか?
ホイールは前後で大きさが違うのにタイヤは4つ同じ。
昔はこんなものか?
と思ったら、
ヤフオクで当時LSが販売していた同じC111のプラモが出品されているのを見てびっくり。
ホイールはメッキ、タイヤも前後で大きさが違う感じ…。
どうやらアリイが原価削減のためにランナーを統一、タイヤも別物にした模様…。
枠のバリはすごかったが、中央部のデザインに問題はなし。


タイヤをつけてみるが…高さや前後位置は問題ないがかなり奥まっている。特に前輪。
ちなみにこのプラモ、モーターライズ設計。そのためシャーシは頑丈にできている。

 
シャーシに挟み込む設計のため、シャーシ自体を切り離しプラ板でつなぎ合わせ。
後輪はシャフトの穴の位置を少し下げ、コペン同様にミニ四駆のワッシャーを左右3枚ずつ入れてトレッド調整。

 
修正後。後輪タイヤがホイールより幅が小さいのは、端にあわせて塗装後に接着剤で固定しよう…。

次、内装。
これがなかり省略されている。
省略だけならまだしも…
 
シートが
ベンチみたいなデザイン…ほんとは右のようなレーシーなもの。

どうしたものかと悩みながらも、まず基礎を作ることに。

座面は途中で折り曲げ、背もたれは足りない分をニコイチに。


サイド部分は光硬化パテで作成。
まずマスキングテープで残しておきたい箇所を張り、その上からパテを盛ってテープをはがす。
するときれいに境目ができる。あとは光に当てて固めるだけ。

背もたれの脇はどうしたものか…プラ板で作ると味気なさそう。
ということでジャンクパーツからシートを探す。

おそらくタミヤのカストロールGT-Rの余りパーツ。成形色が緑だから。
なぜガンメタにスプレーされているかは今や謎…。


サイドを切り離して接着、ヘッド部分はプラ板でベースを作りパテで成形。
実車より太めな感じだが、まぁ高級寄りということでw

で、これを2つに複製するわけである。
マッチ模型店の店長さんにアドバイスをいただきダイソーでこんなものを購入。

「おゆまる」という商品。お湯で温めるとやわらかくなり、型に入れて冷やしてオリジナルアクセサリを作ろう!
という商品だが、逆に型取りに使おう!ということである。
型入れのため、ついでにペンケースも購入。

熱湯で数分温めた後、お湯をふき取り平らに延ばす。
すかさずパーツを押し入れて水で冷やす。


続けてもう1つ温め、上側を作る。
上と下がくっつかないよう、下側には離型剤を塗っておく。ハンドクリームとかでOK。


上も同様に冷やす。


はずす際にサイドが取れてしまったが、型はとれたっぽい。
ここにパテを入れてはさみこんで固める。

 
バリがすごいがはじめての複製にしては成功?
気泡埋めとヤスリがけで完了。


光硬化パテとポリパテの2つ試してみた。
ポリパテの方が流動性がないため穴が多く、(当然だが)固まるのに一晩かかった。
コストパフォーマンスは悪いが光硬化パテの方がやりやすい印象。
ただし、「おゆまる」が半透明で中に光を当てられるから使えたわけだが。


ガルウィングの機構だが、オリジナルそのままでいけた。(もちろんヤスリがけ調整は必要だが)
軸の上部分がくぼんで無いためプラ板+パテで補正。

ボディ全体をヤスリがけ。

かなりのヤスリの量だったが、これだけやると結構きれい?

と、ここで思わぬ発見。
ドアの下はボディ色部分はないことが判明。


切り離し、ドア側に移植する。



 
なくなったボディ側はサイドシルをプラ板で作成したものを接着。
そもそも実車がガルウィングになったのは、このサイドシルがぶっとくて普通のドアじゃ無理があるから…
だというのにそのサイドシルがプラモにないとは…(箱にまでその解説が載っているというのに!)

内装が大体終わったところで外装に入る。
もっとも問題なのはエンジンフード。
 
実車は弧を描いたルーフの切れ込みと、平らでちょっと窪んだ平面で構成されているが、
プラモは四角のガラスばりと、まったく異なっている。どうしてここまで違うのだろう…。


まずは後ろの余分なところをエッチングノコでカット。


平らな部分は本来内装の箇所にあたるパーツを切り出して使用。

 
ルーフ部分はプラ板で再現。仮組みでデザインに問題がないことを確認し、接着剤とパテで完成させる。
簡単に言っているが数日かかっている。

 
リア部分。実車はテールランプ横が垂直だが、プラモは真後ろから見て台形型で、なんかタレた感じ。


一度エッチングノコで斜めに切り離し、内側に寄せたところで接着、
空いた隙間をパテ埋めし、ひたすらヤスリで平らにしていった。

 
ハンドルもまるで違う。
さっきのリア部といい、ここまで違うと、実際にこういうデザインのモデルもあったということなのだろうか?


最初からきれいに作れる自信はなかったが、プラモのよりはマシだろうと、
プラ板とパテで似せる。上はプラ板をつけただけの状態。

 
シャーシ側はタイヤハウスがまったくないためスカスカになってしまっている。
プラ板を曲げながらここも作成。

全部は解説していないが、ここまでで修正は終わり。
やっと塗装。
 
実車の資料からいくと、このプラモは白でいくべきかもしれないが、
あの1/43ミニカーを見たときから「C111=メタリックオレンジ」という印象しかないためメタリックオレンジで塗装。
日産マーチのパプリカオレンジマイカのタッチペンも購入してみたが思ったよりも暗めのため、Mrカラーで調合。
オレンジ・イエロー・ゴールド・シルバーを使用。比率は7.5:1:1:0.5ぐらい?ごめん、かなり適当…。
シルバーを混ぜると一気に暗くなってしまう。(もっと明るいシルバーならよいかと)

 
内装は動画にわずかに写っている以外、ほとんどカラー写真がなく、色合いもかなり適当。
というか手元にあるアクリル塗料の中で近いものを使用しただけ…。
ちなみにギアシフト下のトンネルパーツは、解説していないがこれもプラ板自作。


ドアを支えるダンパーまがいのステーも、真鍮線とプラ板から作成。
内装後ろもプラ板。窓も透明プラ板。
ドアサイドのエアインテークの裏は黒塗装。


このプラモにはデカールはない。
左右にある給油口はきれいに掘り出しできそうもなく、
ハンドルもサイドのメッキ箇所と中央のベンツマークは塗装でできそうもないため、
久々にタトゥーシールでプリントアウト。
給油口は透明シール、ハンドルの方はホワイト地のシールに下地黒で印刷。

写真掲載してないが、運転席側だけのミラーはストラトスのミラーを「おゆまる」で複製したもの。プラモにミラーは入っていない。
鍵穴取っ手もプラ棒から作成。
ミラーはガンダムメッキシルバー・ペン、その他ホイールなどはタミヤスプレーのシルバーリーフで塗装。


これほど古いプラモは久々だった。
おおまかなプロポーションは良いだけに、実車と全く異なる箇所が多かったのは厳しかった。
CGもそうなのだが、要点さえおさえていくと全体のディティールはアップするのだろう。


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