ガルウィングドア
セラ最大の特徴であるガルウィングドアは
ドーム状の屋根「グラッシー・キャビン」を実現するために採用されたもの。
セラのドアはアッパーリンク(屋根)とロワリンク(フロントフェンダー)の2点で支持され、
高圧ガスステー(ダンパー)を”2本”使用してドアを持ち上げる。
この”2本”というのがセラの特徴で、
ドアを開けた際に見える「ドアステー」はごく普通のガスダンパーだが、
ドア内部に組み込まれる「ドア操作力温度補償ステー」は温度によって伸び縮みするものである。
右:ドア操作力温度補償ステー
左:ドアステー
この2本は、ドアの内と外の間に付けられる「ステーリンク」と呼ばれる
シーソーのように動く軸の両端でつながっている。
ガスの圧力は温度によって変化する。
高温では圧力が高まり、低温では低くなる。
極端な言い方をすれば、
夏はドアが閉められないほどステーが強く、冬はドアが落ちてくる…そんなことが起こってしまう。
セラのドアの場合、
夏は「ドア操作力温度補償ステー」が縮むことで「ドアステー」を伸ばし、
冬は「ドア操作力温度補償ステー」が伸びることで「ドアステー」を押し縮める。
これにより「ドアステー」の伸びようとする力が温度に関わらず一定とすることで
セラは夏でも冬でも同じ力でドアが開くようになっているのである。
※このことから各ステーの交換の見極めは
夏はいいけど冬になるとドアが落ちてくる→「ドア操作力温度補償ステー」の劣化
夏も冬もドアが落ちてくる→「ドアステー」あるいは両方の劣化
と判断ができる。
しかし実際のところ、劣化は同時期だし、工賃も安くまとめる点でも
交換するときは「両方」が無難だろう。
セラに初めて乗る人は、
必ずと言っていいほど降りられない。
乗るときはノブを引っ張ればいいだけなのだが、
降りるときはノブを引きながらヒジで押し上げるという儀式が必要だからだ。
ノブに手をかけたとき、ヒジの箇所が凸状になっているのは、
押し上げをサポートするためである。