小学生の頃、誕生日で買ってもらった本キット。
大好きな映画「バニシングIN60"」のフォード・ムスタング。
しかし、いざ組み立てると漂うコレジャナイ感・・。

あれから30年。
持てる能力を駆使して、コレジャナイ感を払拭しつつ、「バニシングIN60"」のムスタング"エレノア"を再現することに。
さらに、当時組み立てたスクラップを再利用して、カーチェイス後のダメージVerも並行して制作していきます。


まず、どのあたりが「コレジャナイ感」を出しているのか?
これを探るため、プラモのボディと1/18ミニカーを3Dスキャンして、CG上で重ね合わせてみることに。
 

まずリア。奥の赤がプラモ、手前の青が1/18ミニカー。
ルーフの後半からなだらかに下がっていくはずが、
まっすぐな状態で、結果”尻上がり”になっています。


ということで、サイドウィンドウとリアウィンドウの間に切れ込みを入れ、2mmほど広げることで補正することに。(青が1/18ミニカー)


次にフロント部。黄と赤がプラモ、緑が1/18ミニカー。
ホイールアーチより前から絞り込んでいくはずが、真っすぐなままのため、顔が幅広な状態になっていると判明。
グリル内は年式違いによりデザイン自体が違うため、丸ごと自作。
 

補正シミュレーション結果。コレジャナイ感が無くなりました。


まずリア部。真っすぐ下がっていることで、逆にルーフが凹んでいるかのような錯覚も。


プラのこで切れ込みを入れ、広げたところにプラ板を差し込んでシミュレーションと同じ角度にします。違和感がなくなりました。


両端を上から見ると広がっていたので、削って絞りました。
 

次にフロント部。修正前。


切る場所、絞る場所に印を入れて絞り込み。


プラスチックが分厚くて絞り込むのが大変でしたが、接着剤でがっちりくっつけました。
 

グリル部をMODELAで出力。


キットのものと比較。


組み込んだ結果。バンパーはまだ幅広のままですが、バランスに問題なし。


バンパーも詰めました。




比較。こちらも違和感がなくなりました。


次にボンネットを自作。


MODELAで出力して差し替えます。
 

サイドの窓枠が上下方向に狭く感じるので修正してみます。
まず上側。実車はウェザートリップが外側に付き、奥まったところに内枠があるので、
既存の窓枠を奥まるように掘っていきます。


外側に薄いプラ棒を貼り、ウェザートリップを再現。これで上側が(視覚的に)少し上がりました。


次に下側。プラに厚みがあるので削ります。高さ自体は殆ど変わっていませんが、こちらも視覚的には広がりました。
 

修正前と比較。かなり改善しました。
実車はもう少し広く感じますが、個人的には許容範囲内なのでこれで良しとします。


ダッシュボード。概ね造形はされていますが、メーターが奥まっておらず、そのせいで楕円状になっています。


リューターで穴を開けます。
プラスチックに厚みがあるので、このまま裏からメーターの絵を貼ればよさそう。
 

メーターの絵を写真用紙に印刷して、裏から貼り付け。




この頃、数か月前に注文していたものの、半導体不足で発売が遅れていた3Dプリンタが届きました。
ここから自作パーツは3Dプリンタで制作することに。


すでにMODELAで制作済みだったタイヤとホイールを作り直すことにします。
MODELAでは溝のないタイヤに、溝を掘ったプラ板を巻く方式をとっていましたが、
断面が平らになってしまったり、サイドウォールを再現しずらかったりしていました。

劇中車が履いていた『GOODYEAR RALLY GT』を再現しました。


MODELA(右)との比較。断面のムッチリした曲面、細かい溝パターンが再現できました。


ホイール。センターの "FORD MOTOR COMPANY" が読める精度です。




いよいよボディのダメージを再現します。
前半分のダメージは凄まじいので、CGと3Dプリンタで再現します。


ボディパネルのCGデータ
 

グリル内もCGで。ボンネットがフェンダーにかぶさっていて塗装出来ないので、別パーツとします。


3Dプリンタで出力。


台座から外して組み合わせた結果
 

キットのステア機構は上側にあるため、凹んだフェンダーから見えてしまいますので、下側に移設しました。
また、左車輪は電柱に激突した際に軸が傾いたため、ネジで傾き具合を調整できるようにしました。
 

その他の小さなパーツも一気に出力しました。




キットはモーターライズでシャーシのリア下部は四角い出っ張りがあるだけ。
出っ張りを切り落とし、ガソリンタンク+マフラー+リジットサスを3Dプリンタで再現。
ダメージVerは左マフラーだけ損傷で垂れ下がっているのを再現。
 

奥の2つの板状のものはウィンドウのバキューム型。スクラップのキットのものは再利用できなかったため。




トランクの凹凸具合は、タミヤのプラペーパーを折り目つけてシアノンDWで接着。


ナンバープレートも同様の手法で制作。




ドアから後ろはリューターなどで凹ませて再現しました。
サフを拭いて全体のバランスをチェックしてはリトライを繰り返しました。




内装の木目は塗装で再現。




メッキはフィニッシュシートで再現。




カーペットはダイソーの「貼れる布」で。


ペダルなどの小物のメッキはガンダムマーカーで。






ダメージVerのFウィンドウ、Rウィンドウは塩ビのバキュームで再現。


銃弾によるダメージは、ピンバイスで穴を開け、デザインナイフで傷をつけました。


マッドガードはホームセンターで購入した薄いゴムマットから切り出しました。
 

クォーターガラスは塩ビを丸めてから切り出し、フィニッシュシートとパイピングケーブルを接着。
 



ボディ色はMr.カラーNo.113 RLMイエローに、タミヤ LP-39 レーシングホワイトを少量まぜたものを使用。




ホワイトレターはMDプリンタ+自作デカールで再現。
ちなみにMDプリンタはPCI-Expressカードでパラレルポートを増設して接続し、VMware上のWindowsXPから印刷しています。


フィギュアもCGを描いて3Dプリンタで自作しました。
 


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